物件概要チェックリストとは?広告掲載前に確認するべき必須記載事項と注意点

物件概要チェックリストとは?広告掲載前に確認するべき必須記載事項と注意点
SHINWA'S PICKS編集部

「物件概要チェック」を模索している広告担当者に向けて、物件概要書・広告に記載するべき必須項目を解説します。あわせて表示規約・宅建業法上の表示義務や、よくある記載ミスの実例もご紹介します。広告掲載前のチェック体制づくりの参考にしていただきたい内容です。

1.物件概要書とは?広告表示の基本

まずは、物件概要書の基本的な位置付けと、広告表示との関係を確認しましょう。

物件概要書が果たす役割

物件概要書は、所在地・価格・面積・構造といった物件の基本情報をまとめた資料で、Web広告やチラシを作成する際のベースとして使われる場合が多くあります。もともとは自社内での情報共有や、営業担当者が商談時に使う基礎資料という性格が強い書類ですが、実務では来店したお客様やお問い合わせいただいたお客様に、そのまま手渡す資料として使われることも少なくありません。

物件概要書自体は、宅地建物取引業法(以下、宅建業法)で書式が定められた法定書類ではありませんが、顧客へ配布・提示される場合には広告表示として扱われ、宅建業法や不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則(表示規約)の対象となります。「自社内資料だから規制とは関係ない」と考えるのは誤解につながりかねないため、作成の時点から表示ルールを意識しておくことが大切です。モデルルームや現地見学会で来場者に手渡す紙の物件概要書も、同じ考え方が当てはまります。

物件概要書と広告表示の関係

物件概要書に記載された情報は、そのまま広告文言に転記されるケースが多く見られます。そのため、物件概要書作成段階での入力ミスや情報の古さが、そのまま広告の表示義務違反につながる可能性があります。

たとえば成約済みの物件情報が物件概要書に残ったままだと、実際には取引できない(成約済みの)物件への問い合わせが発生するなど、消費者の誤認を招く原因にもなりかねません。物件概要書の作成・更新を行う段階から、「この情報が広告として公開されたときに表示義務を満たしているか」という視点を持っておくことが望ましいでしょう。

特に複数の広告媒体に同じ物件を掲載している場合、ポータルサイト・自社サイト・チラシなど掲載先が増えるほど、一部の媒体だけ情報が更新されずに残ってしまうリスクも高まります。

物件概要書を情報の一元管理元として位置付け、そこから各媒体へ展開する運用にしておくと、更新漏れを防ぎやすくなるでしょう。自社だけで確認することに不安がある場合は、不動産広告に強いコンプライアンスチェックサービスの活用をおすすめします。

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2.表示規約が定める必須記載事項

表示規約では、物件概要のチェックに直結する記載事項が定められています。

総則的義務表示事項

不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則(以下、表示規約)第7条では、物件の種別を問わずすべての広告に共通して表示するべき基本事項が定められています。具体的には、取引態様(売主・貸主・代理・媒介のいずれか)、道路の幅員の状況、私道負担の有無や面積、市街化調整区域である旨などが挙げられます。なお、取引態様の明示は宅建業法第34条でも義務付けられています。

あわせて読みたい:【一覧表付き】不動産広告で守るべき表示義務を分かりやすく解説

物件種別ごとの必要な表示事項(別表)

表示規約第8条および別表では、新築分譲マンション・中古マンション・新築分譲住宅・中古住宅・土地など、種別ごとに必要な表示事項が細かく規定されています。たとえば中古マンションであれば、専有面積(内法表示の場合はその旨)、総戸数、建築年月、管理費・修繕積立金の月額などが該当します。土地の場合は都市計画法上の用途地域や建蔽率(建ぺい率)・容積率といった項目が、新築分譲マンションであれば専有面積の表示事項に加えて修繕積立基金や管理形態に関する事項も含まれます。

本コラムで紹介した表示事項はあくまで一例であり、すべての種別を網羅した解説ではない点にご注意ください。実際のチェックでは、対象物件の種別に対応する別表を確認しましょう。取り扱う物件の種別が複数にわたる会社では、種別ごとにチェックリストを分けて管理すると、チェック漏れを防ぎやすくなります。

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3.宅建業法が定める表示義務

表示規約に加えて、宅建業法でも押さえておくべき表示義務があります。

誇大広告等の禁止(宅建業法第32条)

宅建業法第32条では、著しく事実に相違する表示や、実際のものより著しく優良・有利であると誤認させる表示が禁止されています。対象となる範囲には、所在、規模、形質、現在または将来の利用制限、環境、交通の利便、価格などが含まれます。

実際にはない設備をあるように見せかけたり、根拠のない「資産価値が上がる」といった表現を用いたりすることも、この規定に触れるおそれがあります。違反した場合、業務停止処分に加え、6カ月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科される場合があるとされています。「日当たり良好」「駅近」といった表現も根拠なく用いると問題になり得るため注意しましょう。特典やキャンペーンの表示も、条件や期間を正確に記載しないと、不当景品類及び不当表示防止法(以下、景品表示法)上の有利誤認表示につながる場合があります。

取引態様の明示義務・広告開始時期の制限

売主・代理・媒介のいずれの立場かを明示することは、宅建業法第34条で義務付けられています。また宅建業法第33条では、工事完了前の物件について、法令に基づく許可等を受ける前に広告を掲載することが禁止されています。物件概要のチェックでは、取引態様の明示と広告開始時期の制限という2つの観点が漏れなく反映されているかを確認することが重要です。

あわせて読みたい:宅建業法第33条とは?広告開始時期制限の条文・規約・罰則を解説

4.よくある記載ミスと違反事例

実務でよく見られる記載ミスには、どのようなものがあるのでしょうか。

価格・面積・交通利便に関する記載ミス

成約済みの物件を削除せず掲載し続けてしまう状態は、典型的な違反事例です。売れた物件がいつまでも広告に残っていると、実際には成約済みの物件へ問い合わせが入るなど消費者の誤認を招く原因となり、在庫管理システムと広告掲載の連携が不十分な場合に起こりやすいミスといえます。

また、最寄り駅までの徒歩分数を実際より短く記載する事例も見られます。徒歩分数は、道路距離80mにつき1分として算出し、1分未満の端数は1分に切り上げることが基準とされています。信号待ちの時間や坂道の勾配などはこの計算には含まれません。

このほか、私道負担面積の記載漏れや、消費税の内税・外税の表示誤り、複数の割引条件を適用した価格を根拠なく表示してしまう例なども指摘されることが多い記載ミスです。

建築年月・設備・写真に関する記載ミス

建築年月が実際と異なる表示や、リフォーム内容・実施時期の未記載も、よく指摘される事例です。専有面積について、パンフレット等に記載される壁心面積と、登記簿上の内法面積を混同してしまうケースも見られます。

管理費や修繕積立金の金額が改定されているのに古い金額のまま掲載されているケースもあります。実際の建物とは異なる外観写真の使用も指摘されており、竣工前のイメージ図をそのまま使い続けたり、季節や周辺環境が実際と異なる写真を使ったりすることも誤認を招く原因になり得ます。これらは表示規約違反として警告や、状況に応じて違約金などの措置対象となる場合があります。

また、景品表示法上の優良誤認表示・有利誤認表示に該当するおそれがある場合、措置命令や課徴金の対象となる可能性もあります。写真の取り扱いについては、撮影時期や物件の状態、更新履歴を記録に残しておくと、万が一の際にも説明がしやすくなるでしょう。

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5.広告掲載前のチェック体制づくりのポイント

最後に、記載ミスを未然に防ぐためのチェック体制づくりのポイントをご紹介します。

複数人・複数段階でのチェック

物件概要の誤りは、担当者による入力ミスだけでなく、成約状況の更新漏れやシステム連携時の情報欠落など複数の要因で発生します。作成した本人がどれほど注意深く確認しても、思い込みや慣れによって同じミスを見過ごしてしまうことがあります。

作成者本人だけでなく、営業担当と広告担当のように役割の異なる別の担当者が、表示規約の別表や宅建業法の必須事項と突き合わせて確認する体制を設けることで、公開前に誤りを発見できる可能性が高まると考えられます。可能であれば、法務担当など実務から少し距離のある立場の人にも確認してもらうと、思わぬ見落としに気づきやすくなるでしょう。

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定期的な掲載内容の見直し

一度公開した広告も、成約・価格変更・リフォームの実施などにより内容が古くなる場合があります。一定の頻度で概要情報を見直し、最新の状態に更新する運用ルールを設けておくことが、表示義務違反の未然防止につながります。広告制作を外部に依頼する場合も、入稿前チェックリストの共有や修正履歴の確認体制を整えておくことが実務上有効です。

6.まとめ

物件概要のチェックは、表示規約が定める総則的義務表示事項・物件種別ごとの必要な表示事項、宅建業法が定める誇大広告等の禁止・取引態様の明示・広告開始時期の制限など、複数の基準に照らして行う必要があります。単発のチェックで終わらせず、複数人による確認や定期的な見直しの仕組みを整えることが、表示義務違反の防止につながると考えられます。物件概要書の作成や広告掲載に不安がある場合は、広告制作の専門会社や不動産公正取引協議会など専門機関へ相談することも一つの方法です。

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