不動産業界で押さえるべきマーケティング戦略は?効果的な施策を解説

不動産業界は今、変化の真っただ中にいます。あらゆる年齢層のスマートフォン普及率上昇やコロナ禍を経て求められるマーケティング戦略が大きく変化し、新たな時代に適応できる企業が生き残る時代になりつつあるといえるでしょう。特にWebを活用したマーケティングは今や不可欠です。
本記事では、不動産業界において必要とされるマーケティング戦略と効果を出すために必要となる具体的な施策を解説します。
1.不動産業界におけるマーケティングの現状
不動産業界におけるマーケティングの在り方はここ数年で大きく変化しつつあります。
まずは業界全体を取り巻く現状と課題点を確認しましょう。
スマートフォンでの情報収集が増加
スマートフォンの普及により、Webで情報収集する顧客が増加しました。
以前は直接来店や展示会などオフラインの情報のみで購入を決めていた顧客も、今はオフラインで情報収集を行い検討することが多くなっています。
Webにおける情報発信、積極的なサービス周知の重要性が増しているといえるでしょう。
オフラインと融合した戦略
検討時にWebを利用する顧客は増えていますが、その一方で契約までの全過程がオンラインのみで完結するケースは決して多くありません。
例えばマイホームの購入なら
Web広告(オンライン)→住宅展示場(オフライン)→サービスページ(オンライン)→来店で契約(オフライン)
といったように、オンラインとオフライン両方のチャネルを行き来して意思決定を行うことがほとんどです。
よって今後はオンライン・オフラインそれぞれのチャネルで得たデータを統合・分析し、施策に応用するスキルがより重要になると推測されます。
2.重要な不動産マーケティング施策6選
不動産業界のマーケティング戦略で重要なマーケティング施策を6つご紹介します。
公式サイト
他の施策で見込み顧客が増えたとしても、Webで調べた時に問い合わせ先のWebサイトが出てこなければ売上にはつながりません。まずは公式サイトを整備し、自社サービスに興味を持った人へ情報発信できる体制を整えましょう。
Webサイトデザインを洗練させる戦略のほか、ブログ(オウンドメディア)を用いて検索からの流入を狙うSEO記事、インタビュー記事などのコンテンツを充実させるという戦略もあります。
ポータルサイト
SUUMO、LIFULLなどのポータルサイトを活用することで、自社サイトだけでは出会えない幅広い顧客層にアプローチできます。
ポータルサイト特有の難しさとして、大手のポータルサイトは競合が非常に多く、物件情報以外の要素で差別化するのが難しい点が挙げられます。各ポータルサイト特徴を掴んだ戦略的な施策展開が不可欠です。
SNS
Instagram、X、Pinterest、FacebookなどのSNSは認知度の拡大、ファン数増加に役立ちます。
SNSによってそれぞれ利用者層や向いているコンテンツの種類(文章・画像・動画など)が異なるため、自社サービスやターゲットの需要に合わせたSNS選び・アプローチが必須です。
あわせて読みたい:不動産業界の集客にはSNSが最適?運用方法や成功パターンを徹底解説
動画
Youtubeなどの動画プラットフォームで動画を配信する施策も近年注目を集めています。
例えば文章だけでは理解しづらい不動産の専門知識や、視覚的な情報が重要になる物件の内観など、他の媒体では伝わりづらい情報を発信したいときに役立つでしょう。
メルマガ・公式LINE
メルマガ・公式LINEは一度登録したユーザーにお知らせなどを定期配信できます。
不動産は契約・購入までの検討に時間がかかるケースが多いため、顧客の状況に合わせて複数回アプローチできるメルマガや公式LINEは見込み顧客や既存顧客に対する有効な戦略として知られています。
Web広告
Web広告はテレビCMなどマスメディアを活用した広告と比べると安価で、ターゲットをある程度絞って配信できるのが特徴です。
配信する媒体、配信方法などにより、いくつかの種類に分かれます。そのうち代表的なものをいくつかご紹介します。
リスティング広告
検索結果に表示される広告をリスティング広告と呼びます。
あらかじめ設定したキーワードに連動する形で広告が表示されるため、一定の需要があるユーザーに対して直接的な訴求が可能です。
見込み客を効率よく集められる広告だといえるでしょう。
ディスプレイ広告
Webサイトやアプリなどのバナー欄に表示できる広告がディスプレイ広告です。
ターゲット層を具体的に絞って広告を表示できるので、ブランド認知度向上やイメージ訴求に効果的です。
SNS広告
SNS上の投稿や記事のタイムライン内に表示されるため、情報を探している人に届きやすい広告です。
認知度向上などに役立ち、自然な形で表示されるためクリエイティブのABテストがしやすいのも特徴です。
テキスト・動画・画像などさまざまなコンテンツの組み合わせで効果的に訴求できるのもメリットでしょう。
リターゲティング広告
一度サイトを訪問したユーザーに再度表示する広告を「リターゲティング広告」と呼びます。
例えば「物件を閲覧したが購入に至らなかった」ユーザーへの再アプローチに利用できる配信方法です。購入意欲が高い見込み客にアプローチできるのがメリットです。
3.不動産業界のマーケティングで成功するポイント
不動産業界のマーケティングで成功するには、とにかく施策を取り込むだけでは不十分です。どんな施策を行うにせよ、ポイントを押さえて戦略的に展開することが大切になります。
データ活用の徹底
顧客の行動データや市場データを分析し、戦略的な広告配信を行います。
収集したデータをもとにリスティング広告、SNS広告、動画など、チャネルを複数利用し、顧客接点を最大化するのがポイントです。
ターゲット層を明確化する
まずは購入希望者・賃貸利用者の属性を徹底的に分析し、マーケティング施策を最適化しましょう。
年齢、収入、家族構成、地域など、オフライン・オフライン問わずあらゆるチャネルで収集した情報から自社の求めるターゲット層を的確に把握することが重要です。
例えば、不動産では戸建てとマンションで購入者層が大きく分かれます。最近はマンションを買えない所得層の方や生活環境がマンションに合わない方が戸建てを選ぶ傾向にあり、戸建て・マンションでそれぞれ異なるアプローチが必要です。
戸建ての物件で集客する場合、「車を複数台駐車したい」家が良い」「管理費・修繕積立金といったマンションのランニングコストが不満」などのニーズに適したマーケティングを行うことになります。
ブランディングで他社と差別化
不動産業界はエリア内で類似した条件(立地、価格、間取りなど)の物件が多く、規制を遵守する必要があるため、商品としての差別化が難しいという業界特有の特徴があります。
SNSやWebサイト、広告などを活用してターゲット層が共感するブランドストーリーを明確にして、競合との差別化を図りましょう。
設定したターゲット層に合ったブランディングを行うが大切です。
競合分析を活用する
他社に負けない施策を実施し、さらに差別化するには競合を分析することも重要です。
特に自社が力を入れたいWeb施策については、既発の他社がどのように戦略を展開しているかチェックすることが大切になります。差別化を図るためには、同業だけでなく、異業種(特に不動産業界と同じくエリアに依存する業界)も含めて分析するとよいでしょう。
4.まとめ
不動産のマーケティングにはWeb施策が不可欠であり、さまざまなチャネルを利用してターゲットとなるユーザーに興味を持ってもらマーケティング戦略が重要とされています。
Webサイト・SNS・Web広告などの施策、その他従来のオフライン施策を横断的に進められる体制を作るには、マーケティング・不動産業界に対する知識を持った専門家が必要です。自社のリソースでは不足していると感じた場合、外部の広告代理店などに依頼するのも検討すべきでしょう。