不動産業界で重要な広告出稿のルール|媒体ごとの入稿規定を知ろう

不動産業界で重要な広告出稿のルール|媒体ごとの入稿規定を知ろう
SHINWA'S PICKS編集部

不動産広告 を出稿する際には、各 広告媒体の仕様だけでなく、業界特有の表現ルールや法規制を正しく理解することが欠かせません。多くの広告媒体では使用できる文言や記号が厳密に決められており、違反があれば掲載停止のリスクが生じます。

本記事では、不動産広告の基本ルールと、各広告媒体 における実務的な注意点を分 かりやすく解説します。

1.広告出稿時のルールを把握する

広告を出稿する際には、媒体ごとに定められたガイドラインなどのルールを事前に確認し、それに準拠したクリエイティブを作成する必要があります。

媒体によって細かいルールは異なりますが、共通して以下のような点が基本的なチェック項目となります。

  • 表現が誇張・虚偽にあたらないか
  • 法令や業界ルールに違反していないか
  • 誤認させる可能性がないか
  • 媒体ポリシーに反していないか

どの媒体においても明確・正確・根拠のある 表現が基本的なルールとなります。

広告を出稿する前 のコンプライアンスチェックが、掲載停止などのリスクを避けるポイントとなります。

不動産広告における注意点

不動産業界では、宅地建物取引業法や景品表示法、公正競争規約など独自の規制が存在しており、他業種以上に表現の正確性が重視されます。

特に以下のような表現には注意が必要です。

「駅徒歩◯分」:道路距離80mを1分として換算。信号や坂道などの 有無は含まない。

「限定◯棟」「仲介手数料無料」:必ず根拠を記載し、期間や取引条件も明示する。

「最高の住環境」「理想の暮らし」などの主観的表現:具体的な裏付け(例:公園至近、小学校徒歩5分)や補足説明を加える。

上記はあくまで代表的な表現の事例 ですが、広告制作の過程で法令やルールを確認するコンプライアンスチェック体制 を整えることが、不動産広告を安全かつ効果的に運用する上で重要です 。

不動産広告の規制を知る!2022年の規約改正、過去の違反事例も詳しく解説  

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2.リスティング広告のルール

リスティング広告は、Google広告やYahoo!広告などの キーワード連動型広告に代表され る検索エンジンの 検索結果のページ 上部に表示されるテキスト形式の広告です。

現在はクリックごとに広告料金が発生する「クリック課金型(PPC広告)」が一般的です。

リスティング広告の構造

リスティング広告は「アカウント」「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード」という4つの大枠で構成されています。まずはこれら一つ一つの仕組みと関連性を確認しましょう。

アカウント

「アカウント」は企業や組織ごとに管理される単位で、支払い情報や広告主となるユーザーの権限管理など、広告運用全体の土台となる部分です。

一つのアカウントの中に複数の「キャンペーン」を作成することができ、「キャンペーン」ごとに「広告グループ」「キーワード」を設定するという仕組みになっています。

キャンペーン

キャンペーンは広告の目的や戦略に応じて広告を管理するための大枠で、予算や地域ターゲティングの設定などが可能です。

キャンペーンごとに予算や戦略を決めることで、広告をより最適化することができます。

広告グループ

広告グループは、設定したキーワードと広告文をひとまとまりとして扱う単位で、ここで配信条件や 表示される広告文などをさらに細かく設定することが可能です。

広告グループごとに異なる商品やサービスを訴求することで、広告の精度を高めることができます。

キーワード

「広告グループ」の下にあるのが「キーワード」で、どの検索ワードに対してどの広告を表示させるかを決める重要な設定項目です。

自社の強みやサービス内容に合ったキーワードを選定することで、広告の精度と効果を高めることができます。

広告文の仕様

現在は、Google広告・Yahoo!広告ともに「レスポンシブ検索広告」が主流です。これは、登録された複数の見出し・説明文の中から、検索ワード やユーザーの属性 に合わせて自動的に関連付けて 表示されるフォーマットです。

出稿時には以下の仕様に沿って広告文を設定します。

項目 内容
見出し 半角30文字以内、最大15本(Yahoo!広告は最小3本)
説明文 半角90文字以内、最大4本(Yahoo!広告は最小2本)
パス表示 URL末尾に表示、半角15文字以内

使用可能な記号

視認性向上やクリック率向上のため、広告文には記号の活用も有効です。

例えば多くの媒体では「!」「|」「&」などの記号が利用可能ですが、媒体ごとに利用可否が異なる記号もあります。また、本来の用途と異なる目的で記号や句読点を用いることが禁止されている場合もあるため、必ず各社のガイドラインを確認しましょう。

禁止表現

リスティング広告では、媒体ごとに広告文やリンク先に関する広告ポリシーが設けられています。

例えば、「絶対に儲かる」「100%成功」といった根拠のない確実性を示唆する表現はポリシー違反とみなされる可能性があります。

ポリシーに違反した場合、広告の掲載が拒否されるだけでなく、違反が繰り返されるとアカウントの一時停止や永久停止といった厳しい措置が取られる可能性があります。​広告出稿時には必ずこれらのルールを確認し、遵守しましょう。

不動産業界における注意点

リスティング広告は「見出し(30文字以内×複数)」「説明文(90文字以内×複数)」をレスポンシブ検索広告 として複数登録し、検索ワードに応じて自動的に組み合わされる形式が主流です。

そのため、見出しと説明文がちぐはぐに表示されてしまい文脈が曖昧になる、といった過失を防ぐ工夫が必要になります。特に不動産業界では細かい法規制があるため、必要な情報が載っていない状態になることは避けなければなりません。

基本的に1つの見出し・説明文の中で完結する文にして設計を行いましょう。

3.SNS広告のルール

SNS広告は、FacebookやInstagram、X(旧Twitter)などのSNSプラットフォーム を通じて、見込み顧客に対して直接的に情報を届ける手法として注目を集めています。

一方で、広告配信にあたっては、媒体ごとの構造やガイドラインを理解した上で、業界特有の法令への配慮も欠かせません。

SNS広告の基本構造

SNS広告は、基本的に「キャンペーン」「広告セット(広告グループ)」「広告」という3つの階層で構成されています。

まず、「キャンペーン」では広告の配信目的を設定します。例えば、リード獲得、ブランド認知など、何を達成したいかを定め、それに応じた予算や入札戦略を決定します。

「広告セット(広告グループ)」では、ターゲット層や広告を表示する場所、配信スケジュールなどを細かく設定します。ここでは「誰に」「いつ」「どこで」広告を届けるかを具体化していきます。

「広告」の階層 では、実際にユーザーに表示されるクリエイティブ(画像・動画・テキストなど)を登録します。クリエイティブの内容がターゲット 層に届いた際の印象を左右するため、配信目的やターゲット層に合った表現を意識することが重要です。

この構造はMeta(Facebook・Instagram)やX (旧 Twitter)など、主要なSNS媒体に共通している考え方です。媒体ごとに詳細な仕様は異なるため、運用前に各社の ガイドライン を確認しておくことが重要です。

コンテンツのデザイン要件

SNS広告は、タイムライン上に自然に溶け込むフォーマットであることを重視しているため、コンテンツのデザインに対する制限も細かく定められています。

項目 内容
画像 1080 x 1080ピクセル以上、アスペクト比は1.91:1から9:16まで(縦が長い画像は自動で正方形に切り取られる可能性あり)
動画 1080 x 1080ピクセル以上、アスペクト比は横型(1.91:1)から縦型(9:16)まで(縦が長い画像は自動で4:5に切り取られる可能性あり)、最大ファイルサイズは4GB、最大60分まで
テキスト(キャプション) 63,000文字以内

※参照:Meta「Instagramフィード広告のデザイン要件」

上記はMeta社が公表しているInstagramフィード広告のデザイン要件です。このように、媒体や表示場所ごとにガイドラインが定められていますが、アプリの仕様やトレンドによって適宜変更される可能性もあります。

広告制作前に必ずこれらのデザイン要件を確認するようにしましょう。

禁止表現

リスティング広告と同様、SNS広告でも、各媒体に設けられた広告ポリシーに反する表現は配信停止の対象となります。

リスティング広告における禁止表現はどのSNS広告においてもおおよそ採用されているほか、広告媒体によってより細かくルールが定められている場合もあります。

出稿する広告媒体での広告ポリシーを事前に確認しておきましょう。

不動産業界における注意点

SNS広告は限られたスペースでインパクトのある言葉が求められる広告媒体です。しかし、「一生に一度の出会い」「駅近No.1」といった根拠のない表現や誇張表現は法規制に違反するリスクがあります。

反響を狙うあまり、主観的で過度な訴求にならないよう注意が必要です。

またSNS広告では縦型動画やカルーセル広告など、情報が一部しか見えない形式が多く使われています。これにより、価格・所在地・築年数といった「重要事項」が見落とされること も考えられるため、画像内テロップや説明欄などで静的に明示しておく工夫が求められます。

4.新聞広告のルール

新聞広告をはじめとしたオフライン広告にもさまざまなルールがあります。リスティング広告、SNS広告などのオンライン広告とは異なる基準でガイドラインが定められているため、注意が必要です。

広告代理店を選定する際はオンラインとオフライン、両方の広告媒体 に精通したノウハウを有しているかどうかも重要な基準になります。以下は、毎日新聞社の「新聞広告原稿制作ガイド2020」(version 8.3)に基づいた主な広告ルールと注意点です。

データ形式とカラーモード

原稿データは、PDF/X-1a形式やN-PDF形式など、新聞社が指定する形式で作成します。

カラーモードは、モノクロの場合はグレースケール、カラーの場合はCMYKを使用し、RGBやスポットカラーは使用できません。​

解像度とフォント

画像の解像度は、原則として300dpi以上が推奨されます。

フォントは、アウトライン化するか使用するフォントを埋め込むことで、文字化けを防ぎます。​

サイズとレイアウト

原稿サイズは、新聞社が指定するサイズ(例:ブランケット版、タブロイド版 )に合わせて作成します。

レイアウトは、アートボードを原稿領域に設定し、不要なオブジェクトは削除します。​

不動産業界における注意点

不動産広告では、間取り図・地図などの画像精度や縮尺表記が上記の基準を満たしているか特に注意が必要です。印刷精度を確保するために解像度・線の太さ(最低0.2pt以上)へ十分な注意を払いましょう。

また、他の広告媒体と同様に誤認を招く過度な表現やデザインは避け、広告全体の信頼性を損なわない範囲での工夫が必要です。

5.まとめ

不動産広告は、業界特有の規制や景品表示法などの法律に準拠する必要があり、各広告媒体のフォーマットや構造に加えて「何をどう伝えるか」に注意が求められます。

掲載取り下げやブランドイメージの毀損  (きそん)を避けることはもちろん、こうした法令やルール を守った上でいかに成果を出す施策を打ち出すかが重要です。

各広告媒体 の仕様と不動産広告特有の規制を正確に理解し、安心かつ効果的な広告運用を行いましょう。