リフォーム済み物件の広告表示の規約・ルールとは?正しい表示を行うためのポイントも解説
不動産広告に関する規約・ルールは広範囲にわたり、それらを遵守して広告を制作するには注意すべき点が多数あります。これは、リフォーム済み物件の広告制作の際も同様です。
そのため「この表示が規約違反になっていないか、どう判断したらいいだろう」と、悩む方もいるのではないでしょうか。
本記事では不動産広告の規約・ルールの基礎から、リフォーム済み物件の広告で違反となる表示と、その根拠となる規約・ルールについて、具体的に分かりやすく解説します。
リフォーム済み物件の不動産広告の制作で迷った際は、ぜひ参考にしてください。
1. リフォーム済み物件の広告表示で基本となる規約・ルールとは
まずは、リフォーム済み物件に限らず、不動産広告の制作の際に必ず知っておくべき基本的な規約・ルールについて解説します。どの規約・ルールが何について定めているのか、しっかりと把握していきましょう。
不動産広告の3つの規約・ルールの概要(宅建業法・景表法・公正競争規約)
リフォーム済み物件の広告に限らず、不動産広告は大きく分けて3つの規約・ルールを遵守して制作しなければなりません。いずれも、違反した場合は罰則があり、会社名が公表される可能性もあります。社会的信頼を失わないためにも、各規約・ルールの概要を理解することが重要です。
1つ目は「宅地建物取引業法(以下、宅建業法)」です。宅建業法は不動産取引の基本となる法律であり、不動産広告の表示についても様々なルールを定めています。
2つ目は「景品表示法(以下、景表法)」で、消費者が誤解なく商品の購入を判断できるよう、商品広告を広範囲にわたって規制する法律です。不動産広告における表示にも、大きく関わります。
3つ目は「不動産の公正競争規約」です。これは不動産公正取引協議会連合会に加盟する事業者が遵守すべき規約・ルールです。その内の「不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則(以下、表示規約)」では、一般消費者が居住する物件の広告を対象に、以下の内容について細かく定められています。
- 広告の開始時期
- 広告に表示が必要なもの
- 条件付きで広告に表示できるもの
- 広告に表示してはいけないもの
詳細な表示規約は不動産公正取引協議会連合会のHPをご確認ください。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則
本記事では、この「表示規約」を中心に解説します。
物件概要と特定事項
不動産広告では必要な表示事項が主に2つあり、それが「物件概要」と「特定事項」です。いずれも消費者にとって分かりやすく表示する義務があり、表示の漏れや誤った情報の表示は規約違反となります。
物件概要とは、基本的な物件情報のことです。必要な表示事項は、新築分譲住宅や中古賃貸マンションなどの物件種別や、広告媒体の種類によって異なります。Web広告や折り込みチラシなど一部の広告媒体では、物件概要の表示が義務付けられています。
特定事項とは、「再建築不可」など、消費者にとって予測できない不利益となるおそれのある情報のことです。特定事項は、現地の看板などを含む全ての広告媒体で表示が必須であり、表示を怠ると「不当表示」とみなされ厳しい罰則を受けるおそれがあるため、注意が必要です。
2. リフォーム済み物件特有の広告表示の規約・ルールとは
ここではリフォーム済み物件の広告でのみ、必要な表示事項について解説します。
膨大な表示規約の条文の中で見落としがちな部分ですので、必ずチェックしてください。
リフォームの工事完了年月・場所・内容を必ず表示
リフォーム済み物件の広告では、リフォームの「工事完了年月・場所・内容」を表示する必要があります。
例えば、「2020年5月水回り全交換、フローリング・クロス張り替え済み」といったように表示します。
「フルリフォーム済み」「内装リフォーム済み」といった表示は、リフォーム内容が具体的に分からず、消費者に誤解を与えるおそれがあるため、規約違反となります。
部屋全体をリフォームした場合でも、必ず居室名や設備名など具体的な箇所とあわせて表示し、消費者に分かりやすく伝わるようにしましょう。
リフォームを複数の箇所で行った場合は、それぞれのリフォーム工事年月を表示します。
工事年月を個別に表示することが難しい場合は、広告に表示するリフォームの中で一番古い工事年月を表示しましょう。
リフォームの工事完了年月・場所・内容のいずれか一つでも表示がない場合、罰則として厳重警告や違約金課徴などの措置を受けるおそれがあるため、注意が必要です。
「一棟リノベーションマンション」では特有の表示事項を記載
2022年の表示規約の改正で、新たに物件種別に追加された「一棟リノベーションマンション」には、以下の条件全てに当てはまる物件が該当します。
- 内装、外装を含む共同住宅等の一棟の建物全体を改装・改修したもの
- 一括で販売されるものではなくマンションとして住戸ごとに取引するもの
- 工事完了後1年未満かつ誰も居住したことがない
一棟リノベーションマンションは、一般的なリフォーム済み物件とは異なり、物件種別の一つとして定められています。
そのため、一棟リノベーションマンションの物件概要の表示事項は「不動産に関する公正競争規約の別表6(以下、別表6)」として個別にまとめられています。
一棟リノベーションマンションの物件概要の表示事項には、リノベーションの範囲や工事の内容・完了予定日、住戸数など、様々な項目があります。
一棟リノベーションマンションに該当する物件の広告を制作する際は、必ず別表6を参照して広告を制作しましょう。
3. リフォーム済み物件の広告で違反とされる表示とは
ここでは、規約・ルールや実際にあった事例を参考に、リフォーム済み物件の広告で違反とされる表示について解説します。規約・ルールを読んだだけではイメージしにくい部分を、具体的にしていきましょう。
リフォーム済み物件の広告での「新築」表示
リフォーム済み物件の広告では、「新築」という用語には特に注意を払う必要があります。
なぜなら、新築は、「建築後1年未満かつ未入居」の物件のみに使える用語だからです。このように、表示規約で使用のルールが定められている用語を「特定用語」といいます。
そのため、建築後1年以上経った物件はすべて中古となります。リフォームで設備や内装・外装を新しくしたとしても、新築とは表示できません。
「新築同様」「新築そっくり」といった曖昧な表示も、消費者に誤解を与えるおそれがある不当表示にあたるため、表示しないようにしましょう。
使用ルールを満たしていない 「ダイニング・キッチン(DK)」と「リビング・ダイニング・キッチン(LDK)」の表示
リフォーム済み物件の広告でリフォームした箇所を表示する際に、「ダイニング・キッチン(以下、DK)」「リビング・ダイニング・キッチン(以下、LDK)」という用語を使う場合は、注意が必要です。
DKとLDKも、新築と同様に表示規約で厳密に定義されている特定用語です。いずれの用語も、居室数や用途によって、使用できるだけの広さ・形状・機能がないと広告で表示できません。
広さの具体的な目安は、表示規約によって以下のように定められています。
- 居室が1部屋の場合:DKは4.5畳、LDKは8畳が最低必要
- 居室が2部屋以上の場合:DKは6畳、LDKは10畳が最低必要
安易な「リノベーション」表示
部分的なリフォームを行った物件の広告で「リノベーション」と表示することも、消費者に誤解を与えるおそれがあるため避けましょう。
一般的に、リノベーションとは物件全体の改修・機能向上を行うことと認識されており、部分的なリフォームはリノベーションとは見なされないからです。
過去には、リノベーションと表示して販売された物件でトラブルが起こり、最終的には裁判で法律違反が認められた事例もあります。
表示規約ではリノベーションという用語について定義されていませんが、部分的にリフォームした物件の広告では、リスクを避けるためにリノベーションと表示しないようにしましょう。
4. リフォーム済み物件の広告で正しい表示を行うポイントとは
ここでは、実際にリフォーム済み物件の広告を制作する上で、どんなことに気をつければいいかについて解説します。広告を制作する際に以下の内容ができているか、確認してみてください。
物件のリフォームの履歴を正確に把握する
リフォーム済み物件の広告を制作する際は、まずは過去に行われたリフォーム工事について正確な情報を収集する必要があります。物件の情報について、正確でない情報の表示や具体的でない表示は、規約違反とみなされるおそれがあるからです。
リフォーム済み物件の広告で必要な表示事項である、「いつ(完了年月)」「どこを(箇所)」「どのように(交換、張替、新設など)」工事したのかという情報は必ず押さえましょう。リフォーム工事で設置した製品のメーカー名などの情報についても、できる限り調査するようにしてください。
具体的な製品名やメーカー名にブランド力がある場合は、物件の魅力を伝えるためのキャッチコピーに使用できる可能性があります。
加えて、リフォーム工事前やリフォーム工事中の物件の場合、リフォームによって居室数が変化するか確認することも重要です。物件の間取りについて、実際の居室数よりも多く表示した場合、不当表示とみなされ規約違反となるからです。例えば、2LDK+納戸にもかかわらず3LDKと表示した場合などがあります。居室の定義については建築基準法で確認できます。
物件概要と特定事項を見やすく・分かりやすく表示する
物件概要と特定事項は、消費者にとって分かりやすく表示しなければなりません。
表示規約では、物件概要や特定事項の文字は見やすい場所に、7pt以上の大きさと分かりやすい色で表示することが定められています。
さらに、「市街化調整区域」など一部の特定事項は、さらに大きく16pt(5.6mm四方)以上のサイズで表示する必要があります。
いずれも必要な情報が入りきらないからと、文字を小さくしすぎると規約違反となるおそれがあります。物件概要と特定事項を分かりやすく広告内で表示することは、消費者とのトラブル防止にもつながります。
リフォーム済み物件で必要な表示事項である、リフォームの工事完了年月や工事の内容なども同様に、分かりやすく表示することが必要です。
キャッチコピーは事実に基づいた客観的な表現に
キャッチコピーについても、事実に基づいた客観的な表現でなければなりません。「広いリビング」や「日当たり良好」といった主観的な表現は、消費者に誤解を与えるおそれのある不当表示とみなされます。
リフォーム済み物件の広告のキャッチコピーの制作においては、リフォームにより物件にどんな魅力が加わったかを、物件の現況に基づいて具体的に伝えることが重要です。
例えば、リフォームでリビングが広くなったことを伝えるには、「間取り変更により実現した20畳のリビング」といったように、具体的な数字を用いると良いでしょう。
写真やイメージパースは物件の現況に即して制作する
写真やCGなどを利用したイメージパースを掲載する際も、実際に取引する物件の現況に即したものでなければなりません。広告の写真やイメージパースと実際の物件の現況が異なる場合、不当表示にあたるおそれがあります。
リフォーム工事完了前で実物の物件の写真が無い場合、CGで完成後のイメージパースを制作しても良いですが、物件の最終的な工事完了後の現況と完全に一致させなければなりません。これは、窓の位置や壁紙の色だけでなく、周辺環境の様子も含まれます。
また、パースをゆがませて実際よりも広い印象を与えるようなイメージパースを掲載するのも、不当表示や誇大広告にあたるおそれがあります。
その上で、CGなどを利用してイメージパースを制作した旨を、注意書きで分かりやすく表示することも必要です。
リフォーム工事後の室内に家具や小物を置いて撮影した場合は、家具や調度品が価格に含まれていないことを、写真の近くに分かりやすく表示する義務もあります。
5. まとめ
リフォーム済み物件の広告制作では、不動産広告に関する規約・ルールを遵守することに加え、「工事完了年月、場所、内容」を記載しなければなりません。
しかし、規約・ルールの条文は膨大であるため、適切に広告を運用するには、様々な工夫が必要です。規約違反にならないか判断に迷う場合は、信頼できる不動産広告の専門家への相談や、不動産公正取引協議会連合会に問い合わせることをおすすめします。
売上向上や信頼構築につなげるためにも、正しい広告表示で消費者に情報を伝えていきましょう。