リフォーム済み物件の広告で違反となる行為とは?事例や対策も詳しく解説
リフォーム済み物件の広告を制作する場合、新築物件など他の物件の広告にはない注意点や、他の物件の広告と同様に気を付ける点が多数あります。
規約・ルールを正しく理解せずに広告活動を行うと、「気づいたら違反していた」「ポータルサイトへの掲載が停止されてしまった」といった事態を招くおそれがあります。
消費者の信頼を得るためにも規約・ルールの遵守はとても重要です。
本記事では、リフォーム済み物件の広告を制作する際に注意すべき、規約・ルールの詳細について、事例とあわせて分かりやすく解説します。
1.不動産広告で必ず押さえるべき3つの規約・ルール
ここでは不動産広告の制作をする際にまず確認・遵守すべき規約・ルールとその概要について解説します。不動産広告に関する規約・ルールは広範囲にわたりますが、その中でも広告の制作の際に重要なものが何かを理解しましょう。
1-1.不動産広告に対する規約・ルール
不動産広告において遵守すべき規約・ルールは大きく分けて以下の3つです。
- 不動産の公正競争規約
- 宅地建物取引業法(第32条・第33条・第34条)
- 不当景品類及び不当表示防止法(略称:景品表示法、景表法)(第4条・第5条)
この中でも条文が圧倒的に多く、全体の把握が難しいのが「不動産の公正競争規約」です。
「不動産の公正競争規約」とは不動産公正取引協議会に加盟する事業者が遵守すべき規約であり、
- 不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則(以下、表示規約)
- 不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約・同施行規則(以下、景品規約)
の2つがあります。
本記事では、不動産広告で必要な情報や使用禁止の用語について詳しく定めている、「表示規約」を中心に解説します。
1-2.表示規約とは
表示規約では、一般消費者が居住する物件の広告を対象に、
- 広告の掲載が始められる時期
- 広告に必要な物件の情報(物件概要・特定事項など)
- 条件付きで広告に載せられる用語
- 広告に載せてはいけない用語
などについて定められています。他にもあるため、詳細な表示規約は公取のHPをご確認ください。
https://www.sfkoutori.or.jp/
物件概要の表示事項は新築分譲住宅、中古賃貸マンションなどの「物件種別」や広告媒体(Web広告、折り込みチラシ、新聞広告など)により異なります。
物件種別ごとに物件概要の表示事項をまとめてあるのが「規約第8に規定する必要な表示事項の一覧表(別表)」、いわゆる「別表1~別表10」です。下記のリンクから表示規約や別表を確認できます。
公正競争規約の紹介 | 不動産公正取引協議会連合会
2.リフォーム済み物件の広告で違反となる表現とは
ここではリフォーム済み物件の広告の制作で違反となる表現について事例とあわせて解説します。表示規約の条文を読むだけでは抽象的で分かりにくい部分について、具体的な違反事例を押さえることで表示規約の理解が深まり、適切な広告を制作することができます。
2-1.リフォーム工事の時期の明示がない
リフォーム済み物件では、リフォーム工事の年月を正確に記載する必要があり、年のみの記載は認められません。過去の違反事例では、リフォーム工事の年月を記載していなかったものがあります。
リフォーム工事をした月が不明な場合は、登記簿や施工会社への確認など調査を尽くすことが原則です。それでも分からない場合は1番古い月である1月と記載します。
また、複数の箇所をそれぞれ異なる時期にリフォームした物件の場合も、それぞれリフォーム工事を行った年月を記載します。
2-2.リフォーム工事の内容を明示していない
リフォーム工事の内容について、具体的な記載がない場合も規約違反となり、厳重警告や違約金課徴などの措置の対象となります。
過去の違反事例では「内装リフォーム済み」「外装内装リフォーム済み」といった表現が挙げられます。いずれもリフォームの範囲や内容・時期が不明瞭で、消費者に誤解を与えるおそれがあり、不当表示になるため規約違反となります。
リフォーム工事の内容は「水回り全交換」「フローリング張り替え済み」など、リフォームの場所と施工の内容が分かるように年月とあわせて記載しましょう。
2-3.予告広告を出す
リフォーム済み物件では、「〇月〇日発売予定」といった予告広告を出すことは基本的に認められていません。
予告広告が可能な物件種別は新築分譲住宅など一部に限定されています。ほとんどのリフォーム済み物件の物件種別は中古住宅や中古賃貸マンションとなるので、予告広告は出せません。
このため、原則としてリフォーム済み物件の広告は、リフォーム工事の時期や内容のほか、価格や賃料など物件概要をすべて記載した正式な広告しか出すことができません。
2-4.消費者に誤認を与える用語の使用
客観的なデータや根拠がないにもかかわらず、「最高」「最上級」といった最上級表現や「完璧」「絶対」などといった用語を使用することは禁止されています。
これは不動産広告に記載する内容全体において、実際よりも優良または有利であると誤認させるような表示が「不当表示」として禁止されているためです。不当表示は表示規約のほか、宅地建物取引業法と景品表示法の両方に違反するため、厳しい罰則を受けることになります。
リフォーム済み物件の場合、「新築同様」「新品同様」といった曖昧な表現をすることは、見た消費者が新築物件であると誤解する可能性が高いため禁止されています。「新築」と表示できるのは建築後1年未満かつ未入居の物件のみと表示規約で定められているからです。
たとえ誰も住んでいなくても建築後1年以上が経過した物件は「中古」の扱いとなり、「新築」と表示することはできません。
設備や内装・外装を新しくした後、誰も住んでいない場合でも「新築」とは記載できませんので注意しましょう。
2-5.物件の実態と異なる記載
実際の物件の間取り・価格・建築年月と異なる記載を行った場合、不当表示となり、厳重警告や違約金課徴などの措置の対象となります。
(公社)首都圏不動産公正取引協議会によると、リフォーム済み物件の広告の違反事例では、リフォーム工事の時期を建築年月として記載したものがあります。リフォーム工事の時期と建築年月は異なるため、リフォーム済み物件の広告では必ず両方を記載しましょう。
2-6.おとり広告の掲載
架空の物件や契約済みの物件など、実際には契約できない物件の広告を掲載し続けることは、「おとり広告」として厳しく禁止されています。
(公社)首都圏不動産公正取引協議会によると、過去の違反事例では契約済みの物件の広告を掲載し続けたものが多数あります。契約済みの物件の広告はすぐに削除し、物件情報に変更が生じた際は速やかに更新することが重要です。
2-7.二重価格で表示する
不動産広告では、原則として実際の販売価格と値下げ前の旧価格をあわせて記載する二重価格の表示が禁止されています。これはリフォーム済み物件の広告でも同様です。
例えば、「価格2,820万円→2,720万円」とだけ記載するのは規約違反になります。旧価格の公表日と値下げした日の記載、値下げの日から6カ月以内であることなど、表示規約に定められた厳格な要件を満たす場合のみ、二重価格の表示は認められます。
ただし、賃貸物件での二重価格の表示は例外なく、すべて規約違反となるため注意してください。
2-8.表示規約が定めた基準から外れた表示
表示規約ではここまでに紹介した内容のほかにも、不動産広告について細かく規約・ルールが定められています。リフォーム済み物件の広告も同様に、表示規約を遵守しなければなりません。
物件と各施設の所要時間の計算方法、物件概要・特定事項の広告での文字のサイズなどが厳格に定められているため、広告の制作の際は必ず確認しましょう。
3.リフォーム済み物件と一棟リノベーションマンションの規約・ルールの違いとは
リフォーム済み物件の広告の中でも、物件種別が「一棟リノベーションマンション」にあたる場合、規約・ルールが他のリフォーム済み物件と大きく異なります。ここではその主な違いについて解説します。
3-1.一棟リノベーションマンションとは
「一棟リノベーションマンション」は、2022年9月に表示規約に新たに追加された物件種別です。一棟リノベーションマンションは以下の条件をすべて満たす場合に該当します。
- 内装と外装を含めた建物全体を改装・改修したもの
- マンションとして住戸ごとに取引するもの
- 改装・改修工事の完了前または完了後1年未満、かつ工事完了後、誰も住んだことがないもの
一棟リノベーションマンションは他のリフォーム済み物件と比較して、広告で使用が認められる用語や広告の開始時期の規約・ルールが一部緩和されている点があります。
3-2.一棟リノベーションマンションのみに適用される規約・ルールとは
他のリフォーム済み物件とは大きく違う点として、一棟リノベーションマンションの広告では特定の条件のもとで予告広告とシリーズ広告が可能な点や、「新発売」という用語を使用できる点があります。
また、一棟リノベーションマンションは独立した物件種別のため、表示規約の別表が個別で用意されており、他のリフォーム済み物件とは物件概要の表示事項が異なります。
具体的には
- 一棟リノベーションマンションであること
- リノベーション工事の内容
- リノベーション工事の完了年月または完了予定年月
を記載する必要があります。その他にも記載すべき情報が多数あるので、必ず規約第8条に規定する必要な表示事項の一覧表(別表6)を確認して物件概要を作成しましょう。
4.リフォーム済み物件の広告で違反を防ぐためのポイント
ここでは実際に広告を制作する際に必要なチェック事項とその流れについて解説します。不動産広告の制作の際に、以下の内容がチェックできてるか目を通してみてください。
4-1.最新の表示規約をチェックする
不動産の公正競争規約は不動産公正取引協議会連合会によって改正が行われます。そのため常に最新の表示規約を確認して、広告を制作することが大切です。
不動産公正取引協議会連合会のWebサイト(https://www.rftc.jp/koseikyosokiyaku/)の公正競争規約の紹介ページでは、最新の規約や規約の新旧対照表が公開されています。不動産広告を制作する際は必ず毎回確認しましょう。
4-2.広告の制作から掲載まで違反がないかチェックする
不動産広告では多くの規約・ルールがあるため、広告の制作から掲載するまでに細かくチェックすることが必要です。(公社)首都圏不動産公正取引協議会によると、規約違反の防止のために以下のワークフローに沿って新築住宅の広告を制作することが推奨されているので、チェックをする際は参考にしてください。
- 建築確認の有無を確認。ない場合は広告禁止となるため注意。
- 物件の所在地など必要な表示事項をまとめて物件概要を作成。
- 再建築できない・不整形地など消費者が予想できない不利な情報で記載が必要な情報(特定事項)を確認。
- 各施設までの距離や面積などの記載ルールの確認・禁止用語や誤解を生むような表現がないかを確認。
- 誤字脱字の確認。
中でも、おとり広告・不当表示にあたる表現や記載漏れがあった場合、厳しい措置の対象となるため特に注意が必要です。
4-3.掲載した後も広告をチェックする
物件について古い情報や誤った情報を掲載し続けると、「おとり広告」とみなされ厳しい罰則を受けることになります。そのため、広告の掲載後も掲載している物件の情報が正しいかチェックし続ける必要があります。
実際に、(公社)首都圏不動産公正取引協議会によると、おとり広告の中で最も違反が多いのは「契約済み物件の広告を掲載していた」という事例です。契約済みの物件の広告の掲載は「消し忘れ」や「更新ミス」といった過失であっても、おとり広告として重大な違反とみなされます。契約済みとなった物件の広告は速やかに削除しましょう。
また、「システムの不具合で表示されていない」「記載されているはずの情報が表示されていない」「文字化けしてしまって読めない」といった場合も不当表示とみなされる可能性があります。掲載後も物件の情報をすべて閲覧できるか確認し、必要に応じて情報の更新をこまめに行いましょう。
4-4.専門家への相談も視野に
不動産広告の規約・ルールは複雑で、改正されることもあるため、自社だけで適切な判断を下すことは困難な場合があります。そのような時は、不動産広告に詳しい弁護士やコンサルタント、不動産公正取引協議会などの専門機関への相談を検討しましょう。
判断に迷う表現がある場合は、広告を出す前に、管轄の不動産公正取引協議会へ相談することが最も確実な方法の一つです。
また、不動産広告に詳しい弁護士などの専門家に相談し、第三者の視点からチェックを受けることも、リスク管理の観点から非常に有効です。
不動産広告の専門家からは、最新の判例や行政指導の傾向を踏まえた、具体的な表現のニュアンスまで踏み込んだアドバイスを受けることができるでしょう。
5.まとめ
リフォーム済み物件に限らず、不動産広告は記載する内容について、他の商品の広告と比較してもかなり厳しい規約・ルールがあります。
そのため広告の効果を上げるには、規約・ルールを十分に理解して遵守した上で、物件の強みを「適切な人に」「正しく」「魅力的」に最大限伝えるための検討と施策が必要です。
信頼できる不動産広告の専門家へ相談しながら広告を制作することが、コンプライアンスを遵守しつつ広告の効果を最大限にするカギとなります。