戸建住宅の広告にはメールが向いている?その理由と運用時のポイントを解説

戸建住宅の広告にはメールが向いている?その理由と運用時のポイントを解説
SHINWA'S PICKS編集部

メール広告とは、企業が自社の商品やサービスを宣伝するために、顧客や見込み顧客へメールで情報を配信する手法です。この手法には顧客の属性や興味関心に応じて広告を配信できるという強みがあり、多くの業界で採用されています。

特に、顧客との長期的な関係構築が求められる戸建住宅の広告において、メール広告は非常に有効な手法です。

本記事では戸建住宅の宣伝においてメール 広告が有効な理由と、運用時に意識したいポイントについて詳しく解説します。

1.戸建住宅の広告について|広告媒体の現状

まずは、戸建住宅の広告について、多くのマーケティング担当者が直面している現状と課題を整理してみましょう。

現在の広告媒体の主流

現在、戸建住宅の広告媒体は「自社Webサイト」と「不動産ポータルサイトのSUUMO、LIFULL、アットホームなど」が主流です。またSNSでは「Instagram」が最も活用されているようです。

こうしたWeb媒体が中心となる一方、「チラシ・ポスティング広告」や「現地看板」といったマス広告も依然として一定の需要があり、オンラインとオフラインでアプローチの分かれる「二極化」が進んでいるのが現状です。

どの広告媒体も競合が多い

どの広告媒体も競合が多く、ほとんどの広告が競合他社の情報に埋もれてしまうのが実情です。その中で目立とうとするあまり、過剰な広告を行い、ブランドイメージを損なうリスクが生じることもあります。また、顧客に「うっとおしい」「しつこい」などの印象を与えてしまっただけでなく、景品表示法の「ステマ規制違反」や「第三者の優良誤認表示」に抵触してしまった例もあるようです。

継続的な顧客接触が課題

現在、顧客はWebサイト上の広告について「多すぎる」「邪魔だ」といった印象を抱いていることが多いようです。このような状況下でいかに顧客との継続的な接点を持ち、関係性を築いていくかが、現代在のマーケティング戦略における課題となります。

2.戸建住宅広告でメールが有効な3つの理由

戸建住宅広告の「競争激化」と「顧客との継続的な関係構築の難しさ」という課題。これらを解決するには、メール広告が最適です。以下ではその理由について解説していきます。

検討期間の長い顧客とつながり続けられる

戸建住宅購入の決断は、長期間にわたって検討されることが多く、即決されることは少ないと考えられます。実際に、不動産情報サイト事業協議会の調査(不動産情報サイト利用者意識アンケート(2024)にて、売買は1週間〜6か月以上が多いという結果が出ています。

購入を検討している顧客には、定期的な情報提供が有効です。そのため、定期的に情報を配信し、顧客とつながり続けることができるメール広告は、戸建住宅の広告に適しているといえます。

見込み顧客との信頼関係を築ける

メール広告の最大の強みは、見込み顧客を育成し、深い信頼関係を築けることです。

顧客は売り込みを警戒する一方で、自身の課題解決に役立つ専門的な情報は常に求めています。メール広告を使えば、セールス感を抑えた有益なコンテンツを継続的に提供し、顧客をサポートする「頼れるパートナー」としての立ち位置を確立できるでしょう。

データに基づいた深いアプローチが可能

メール広告は、「開封率」「クリック率」「配信停止率」といった顧客の反応をすべて数値で把握できます。

顧客にどのメッセージが響き、どの情報に関心が高いのかを分析できるのは大きな強みです。

  • 顧客の反応を見て継続的に広告内容を改善できる
  • 効果測定の難しいマス広告などからメール広告へとつなげることで、不透明だった効果を可視化できる

このようなメリットがあるため、顧客へより深いアプローチが可能です。

3.戸建住宅のメール広告で意識したい3つのポイント

実際に戸建住宅のメール広告を運用する上で、効果を最大化するために意識したいポイントは以下の3つです。

件名とコンテンツを工夫する

多くの受信メールに埋もれないためには、まず件名で興味を引き、開封してもらう必要があります。

次の点を意識して、顧客の目に留まりやすい件名にしましょう。

  • 数字を入れる(例:満足度98%の理由)
  • 特別感を出す(例:セミナー参加者様限定)
  • 顧客のメリットを提示する(例:知らないと損をする補助金情報)

また、開封してくれた顧客が興味を深め、自社WebサイトなどのURLをクリックしたくなるように、コンテンツの内容も 工夫することが大切です。

顧客の傾向に応じて、次のような、専門家としてのお役立ち情報を提供しましょう。

  • 施工事例やお客様の声といった実績の紹介
  • 失敗しないハウスメーカー選びの視点
  • 夏は涼しく、冬は暖かく過ごすための断熱材の知識

こうした工夫の継続が、企業としての信頼性を高めていくことにつながります。

配信のタイミングと頻度に気を配る

有益な情報であっても、配信の仕方を見極めなければ顧客にしつこいと思われ、配信停止に繋つながってしまいます。配信のタイミングと頻度には気を配りましょう。

GetRespose社が実施した「地域ごとの電子メールの最適な送信時間-2020年の調査」によると、BtoCのメールが読まれやすくなるのは通勤時間帯や昼休み、就寝前のリラックスタイム(20時〜22時頃)です。配信頻度は週に1回から始め、開封率などの反応を見ながら調整しましょう。

最終的には自社の顧客層が最も反応しやすいゴールデンタイムをデータから見つけ出し、無理のないペースで有益な情報を届け続けられるようにすることが大切です。

顧客に合わせた情報を配信する

メール広告の効果を高めるには、すべての顧客に同じ内容を送るのではなく、顧客の状況に合わせた情報の最適化(パーソナライズ)が必要不可欠です。

  • チラシ・ポスティング広告に自社Webサイトの資料請求フォームのURLや二次元コードを記載し、「お役立ち資料請求」などの形でメールアドレス登録へ誘導。登録者には家づくりの流れや資金計画の基礎知識を定期的に提供する
  • Web広告・SNS広告にて獲得した見込み顧客が興味を持った広告を把握。それに合わせた有益な情報を定期的にメールで配信し、関係性を深めていく
  • イベント・見学会でメールの情報が役立つことを周知。登録者に物件のこだわりポイントなどの参加者限定の情報や、担当者からの来場の御礼メールを送ることで特別感を演出し、次のステップ(個別相談など)に繋げる

このように顧客個々の流入経路に応じて配信シナリオを設計し、顧客に「自分ごと」として感じてもらえる情報を提供することで、開封率やクリック率は飛躍的に向上するはずです。これは「クロスチャンネル戦略」と呼ばれる施策の1つであり、これからのマーケティングにおいて基本としたい戦略です。

4.メール広告の注意点

ここまで解説してきた通り、メール広告は戸建住宅の宣伝において非常に有効な手法です。

しかし、運用の際に注意しなければならない点もあるので、しっかりと確認しておきましょう。

見込み顧客リストの獲得に手間とコストがかかる

メール広告を配信するためには、まず配信先となるメールアドレスのリストを獲得する必要があります。

そのため、チラシ・ポスティング広告のように不特定多数に配布するのではなく、顧客本人の同意を得てメールアドレスを提供してもらわなければなりません。

これには一定の手間とコストがかかります。具体的には次の通りです。

  • 自社Webサイトに資料請求フォームを設置する
  • イベントや見学会の参加者にアンケートを実施し記入してもらう
  • 有益なノウハウをまとめたPDF資料(ホワイトペーパー)と引き換えに登録してもらう

これらが実行できるかどうか、事前に確認してからメール広告の運用を始めましょう。

コンテンツは継続的に制作する必要がある

顧客との信頼関係を築くためには、有益なコンテンツを継続的に企画・制作しなければなりません。

もし配信が途絶えたり、内容が陳腐化したりすれば、顧客の関心はすぐに薄れてしまいます。

コンテンツ制作のためのリソース(時間・人・費用)をあらかじめ確保できるかどうかは、メール広告の成否を大きく左右するため、必ず確認しましょう。

特定電子メール法を遵守し、配信停止に即時対応する義務がある

メール広告を運用する上で、必ず遵守しなければならないのが「特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)」です。

この法律は、受信者の同意なしに広告宣伝メールを送ることを原則として禁じており、違反した場合には厳しい罰則が科せられる可能性があります。法律を遵守することは、企業のコンプライアンス意識を示す上でも極めて重要です。

具体的には、次のようなことが義務付けられています。

  • 事前に配信の同意を得ること(オプトイン)
  • 送信者の氏名や名称を明記すること
  • いつでも簡単に配信停止できる仕組みを用意し、その旨を明記すること(オプトアウト)など

詳しくは総務省のHPにある特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイントに記載されています。よく確認しておきましょう。

5.まとめ

メール広告は、長期的な視点が不可欠な戸建住宅の販売活動において最適な手法の1つです。検討期間の長い顧客と継続的につながり、企業としての信頼を高めつつ、データに基づいた効果的なアプローチを行うことが可能です。

本記事で解説した運用時のポイントや注意点などを参考に、メール広告の運用を検討してみてください。