不動産広告における営業停止のリスクとは?実際の事例を紹介

不動産広告における営業停止のリスクとは?実際の事例を紹介
SHINWA'S PICKS編集部

不動産広告は、高額な取引に関わる重要な情報を発信するものであり、その表現には細かいルールが設けられています。

また、実際に誤解を招く表示が原因で行政処分や広告掲載停止といった影響を受けるケースも散見されます。

本記事では、不動産広告に関する主要な法規や業界ルール、さらには実際の営業停止事例を取り上げ、不動産広告における規約・ルールがもたらすリスクと対策について解説します。

1.不動産広告における規制ルール

不動産は、生活に直結する高額商品であるがゆえ、高い信頼性と透明性が求められます。Web広告やSNSといった新たな媒体においても規制ルールに則った表現が行われているかどうかチェックする体制が必要です。

ここでは、不動産広告に関係する主要な規制ルールを解説します。

不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は広告等における誤認を招く表現や、実態と異なる誇張された訴求を防ぐための法令です。広告の内容が適正であることを求め、消費者に対して正確な情報を提供することを目的としています。

景品表示法に違反があった場合には「指導」や「措置命令(+課徴金)」が下されます。営業停止処分などの直接的な制裁はありませんが、措置命令は公表されるため、社会的信用の低下につながるリスクが生じます。

また、景品表示法に基づいて施行される表示規約違反に該当すれば、ポータルサイト掲載停止など別の処分を受ける可能性もあります。

宅建業法(宅地建物取引業法)は不動産取引全体を適正に行うための法律であり、広告に関しても複数の規定が設けられています。

具体的には、取引態様の明示、誇大広告の禁止、広告開始時期の制限などが規定に含まれます。

違反が発覚した場合、「指示」「業務停止」「免許取り消し」など、業務継続に重大な影響を及ぼす処分が科されることもあります。また、処分の内容は各都道府県の公表資料や、国土交通省が運営する「ネガティブ情報等検索サイト」にて、5年間公開されます。

不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)

不動産の表示規約(不動産の表示に関する公正競争規約)は主に景品表示法に基づき不動産公正取引協議会が定めた業界の自主規制ルールであり、加盟企業にはこの規約の遵守が義務付けられています。

表示規約では、不動産広告の表示内容について、景品表示法よりも具体的かつ実務的な基準が設定されています。

違反が発覚した場合は、その程度に応じて「注意」「警告」「厳重警告」「違約金課徴」の措置が講じられます。

違約金課徴の場合には、主要ポータルサイトへの広告掲載が最低1カ月停止される制度が設けられており、これが実質的に部分的な営業停止に相当するといえます。

規制の対象となる広告媒体には、新聞・折込チラシ、ポスティングチラシ、雑誌、新聞、パンフレットなどが含まれます。

加えて、Web広告やSNSでの投稿も規制ルールの対象に含まれているとの見方が示されており、紙媒体と同様の注意が求められます。

媒体の種類にかかわらず、不動産広告としての適正性が問われる点に留意しましょう。

2.不動産広告の営業停止事例①誤認を招く表示で業務停止処分

不動産広告における表現の誤りが、重大な処分につながった事例として、神奈川県内の不動産会社A社に対する宅建業法違反のケースをご紹介します。

A社は、広告表示をめぐって複数の違反を重ねた結果、45日間の業務停止処分を受けました。

誤解を招く広告表現

A社は販売物件の広告において、「北東側の舗装町道から進入可能」と記載していました。しかし実際には、その町道に直接接道しているわけではなく、通行には水路上の通路橋を経由する必要がありました。

さらにその通路橋を使用するには、水路の管理者から許可を得なければならない状況にもかかわらず、A社はその調査をせず、許可を得ないまま広告を掲載し、買主に誤解を与える内容のまま販売を行っていました。

加えて、当該物件が第一種住居地域であるにもかかわらず、「工場建築可」とする記載を広告内に盛り込んでいました。用途地域の制限により本来認められていない用途を、可能であるかのように見せる表現は、宅建業法における誇大広告に該当します。

実務管理上の問題も

広告表現に関する問題だけでなく、A社は売買契約においても法令上の義務を怠っていました。完成済みの宅地を販売する際、売買代金の10%を超える手付金を受け取っていたにもかかわらず、宅建業法で義務付けられている「手付金等の保全措置」を講じていなかったことが確認されています。

不動産会社としての実務管理上の問題も、行政処分の理由の一つであったといえます。

45日間の業務停止処分

以上のように、事実に反する広告表示や法定手続きの不備といった複数の違反が重なったことにより、A社には45日間の業務停止処分が科されました。

この処分内容は社名を含めて実際に公表されており、社会的信用にも影響を及ぼす結果となっています。不動産広告における細かい表現が、営業上のリスクに直結することを示す事例です。

3.不動産広告の営業停止事例②ポータルサイトの虚偽表示で広告掲載停止

不動産広告における不適切な表示が表示規約に違反するとして摘発された事例として、不動産会社B社が不動産公正取引協議会から処分を受けたケースをご紹介します。

おとり広告が摘発

B社は、既に契約が成立していた新築住宅7物件の情報を、最長で3カ月半以上にわたりポータルサイト上に掲載し続けていました。これは、実際には購入できない物件をあたかも販売中であるかのように見せる「おとり広告」に該当します。

さらに、掲載していた建物外観写真には「施工例」との注記がありましたが、実際の物件とは異なる外観であったことも問題とされました。

上記の問題を含め、8項目にわたる表示内容で表示規約違反と認定されています。

ポータルサイトへの広告掲載が停止

こうした不当表示に対して、不動産公正取引協議会はB社に対して違約金課徴が行われ、併せてポータルサイトへの広告掲載を停止する処分が科されました。

なお、停止期間は最低1カ月とされていますが、実際の掲載停止期間は公表されていません。

運用上の注意点

意図的におとり広告を出すことはもちろんやめるべきですが、表示ミスや更新の遅れであっても、結果として「おとり広告」や「虚偽表示」とみなされることがある点に注意が必要です。

また、「施工例」という形で参考画像を使用する場合でも、実物と著しく異なるものであれば、利用者の誤認を招く表現と判断される可能性があります。

実在する物件と混同されないような明確な説明がなされていない限り、法令違反に該当するリスクがあることを認識しておきましょう。広告においては掲載後の定期的な情報更新と、内容の正確性を維持する体制が求められます。

4.まとめ

不動産広告では、景品表示法や宅建業法、表示規約などさまざまな規制があります。

近年は企業のWebサイトやポータルサイトでも法令・規約への違反が指摘されるケースが増え、営業停止や広告掲載停止といった重大なペナルティーに発展することもあります。

実務においては、広告のコンプライアンスチェック体制を強化し、規制ルールを常に意識した運用を行っていく姿勢が不可欠です。