【マンション販売】リスティング広告で集客するポイント|内製と外注どちらを選ぶべき?
マンション販売において、リスティング広告は顕在層への効果的なアプローチ手段として広く活用されている広告媒体です。
検討意欲の高いユーザーに的確に情報を届けられる一方、運用方法によっては費用対効果に差が出やすいため、ポイントを押さえた運用が求められます。
本記事では、マンション販売におけるリスティング広告の基礎知識から、運用上のメリットと注意点、効果を高めるための工夫、内製と外注の判断ポイントなどを整理して解説します。
効果的なリスティング広告の運用を目指すための基礎知識として、ぜひご活用ください。
1.マンション販売におけるリスティング広告の基礎知識
リスティング広告は、GoogleやYahoo!といった検索エンジン上で、ユーザーの検索語句に応じて表示される広告媒体です。
掲載費用の相場
リスティング広告はクリックごとに広告費が発生する、いわゆる「クリック課金型」の広告媒体です。
マンション販売では、リスティング広告における月額の広告費の相場は数十万円から数百万円と幅広く、販売時期やエリア、キーワードの競争状況によって費用感は大きく変動します。
適切なキーワード設計と入札単価の調整が、効果的な運用のポイントとなります。
2.マンション販売でリスティング広告を運用するメリット
マンション販売においては、ポータルサイトや紙媒体を通じたマーケティングだけでは十分な反響を得にくい場合があります。
そこで注目されているのが、検索行動に連動して広告を表示できるリスティング広告です。ここでは、マンション販売におけるリスティング広告の主なメリットについて解説します。
顕在層にアプローチしやすい
リスティング広告は、マンション販売の場合「〇〇市新築マンション」といった具体的なキーワードで検索する顕在層に向けて、タイミングよくアプローチできる広告媒体として知られています。
例えば、折込チラシや屋外広告では、購入を検討していない層にも広く情報を届ける必要がありますが、リスティング広告は検討意欲が高い顕在層に絞って情報を届けることが可能です。
顕在層に対してアプローチできるため、資料請求や来場など、次のアクションにつながりやすいという特徴もあります。
費用対効果が高い
リスティング広告は出稿単位が小さく、必要に応じて柔軟に調整できる点も魅力の一つです。
販売スケジュールの進行に合わせて出稿量を増減できるため、無駄のない予算運用が可能です。また、限られた予算の中で反響の質を高めたいときや、住宅展示場における来場単価のばらつきを抑えたいときにも適しています。
効果測定しやすい
リスティング広告ではクリック数やコンバージョン率などの成果が数値で明確に可視化されるため、広告の効果を正確に把握できます。
こうしたデータは、社内資料や会議での報告に活用でき、施策ごとの効果比較にも役立ちます。週ごとの反響を見ながら営業部門と連携し、必要に応じて広告の運用方針を見直すなど、柔軟性を持った運用が可能です。
他施策との相乗効果
ポータルサイトや折込チラシなど、他の広告施策と並行して運用することで、反響の取りこぼしを防ぐことができます。特に販売の後半や、残り1戸といったフェーズでは、ピンポイントでの集客を狙う手段としてリスティング広告が活用されることも少なくありません。
さまざまな媒体を状況に応じて使い分けることで、販売全体の効率を高めることができます。
3.マンション販売おけるリスティング広告の注意点
リスティング広告は費用対効果の高い広告媒体として知られていますが、マンション販売においては特有の注意点も存在します。
効果的に活用するためには、いくつかのリスクや注意点を事前に把握しておくことが大切です。
CPA(顧客獲得単価)高騰のリスク
マンション販売はエリアが限られているケースも多く、検索キーワードが限定的になりがちです。そのため、検索ボリュームがそもそも少なく、広告がなかなか表示されない可能性も考えられます。
反対に、人気エリアや物件名などのキーワードでは競合が激しくなり、クリック単価が高騰する恐れもあります。現在では多くの不動産会社がリスティング広告を活用しているため、競争が激しくなっている点には注意が必要です。
LP(ランディングページ)との整合性が必要
広告からWebサイトに訪れても、LP(ランディングページ)の情報量が少なかったり、物件の魅力が伝わらなかったりすると、すぐに離脱されてしまいます。
マンション販売では、写真や間取り、周辺施設などの情報が購入検討に大きな影響を与えるため、広告の内容とLPの構成がしっかりかみ合っているかを確認することが重要です。
配信タイミングが難しい
マンション販売には、モデルルームの公開日や販売開始のタイミング、建物の完成予定年月など、物件ごとのスケジュールがあります。
広告の配信時期もそれに合わせて柔軟に調整する必要があるため、特に複数物件を同時に扱う場合には、運用が煩雑になることも珍しくありません。そのため、配信スケジュールの管理には十分な体制が求められます。
コンプライアンス違反のリスク
リスティング広告では、物件価格の記載や広告文中の表現に関して、法律上の制限が設けられています。例えば、「今後絶対に値上がりします」といった断定的な表現や、根拠のない優良誤認につながる言い回しはやめましょう。
コンプライアンス違反と判断された広告は審査が通らなかったり、悪質な場合は行政からの指導や罰金を科せられる可能性もあるため、コンプライアンスチェックの体制づくりが欠かせません。
4.リスティング広告で効果を高めるポイント
リスティング広告を成功させるには、ただ配信するだけでなく、運用の各工程で適切な工夫が必要です。
ここでは、マンション販売における効果的な運用ポイントをご紹介します。
顕在層の明確化
マンション販売では、誰に向けて広告を届けるかが非常に重要です。想定される顕在層の年齢や家族構成、購入目的などを明確化させましょう。
例えば、都内で勤務しており、郊外で持ち家を探している子育て世帯を顕在層として設定する場合、「~駅まで徒歩5分」「都心へのアクセス良好」などのキーワードを広告文に入れる、といった施策が考えられます。
顕在層の設定が曖昧だと、広告に反応はあっても、実際の来場や成約につながりにくくなります。
的確なキーワード設計
広告で使用するキーワードは、物件名や最寄り駅といった基本情報だけでなく、「新築」「分譲」「駅近3LDK」など、ユーザーの検索意図を反映した言葉も意識しましょう。また、的外れな表示を防ぐために、除外キーワードを設定したり、マッチタイプを使い分けたりといった細かい工夫も大切です。
競合他社との違いを明確に打ち出せるようなキーワードを選ぶことが、成果につながるポイントです。
広告文とLPの整合性を高める
広告文に引かれてサイトを訪れたユーザーが、そのまま離れてしまう原因の一つが「広告と中身のずれ」です。
例えば「駅まで徒歩5分」「即入居可能」「3LDK3,500万円台」などの情報を広告に載せた場合は、LPでも同じ情報をすぐ確認できるようにしておくことが重要です。
情報の整合性がとれていないと、信頼感を損ねるだけでなく、せっかくの広告費が無駄になってしまいます。
運用体制を固める
リスティング広告は、配信して終わりではありません。広告がどれだけクリックされ、そこからどれだけ問い合わせや来場につながっているのかを、日々チェックしながら改善していく必要があります。広告の成果だけでなく、LPの閲覧状況や来場・成約のデータと併せて分析し、広告全体の精度を高めていくことが求められます。
また、価格や特典の表記などが法令に違反していないかをチェック体制も整えておくと安心です。あらかじめコンプライアンスチェックの担当者を決めておくと、トラブルの防止につながります。
5.リスティング広告を内製で運用するメリット
一定のスキルと体制があれば、内製でのリスティング広告運用も可能です。ここでは、マンション販売で内製化を検討する際の主なメリットをご紹介します。
手数料を抑えられる
広告代理店に運用を依頼すると、広告費とは別に手数料が発生します。内製であればその費用が不要となり、限られた予算をより効果的に配分することができます。
例えば、クリック単価の入札を上げたり、より多くのキーワードを設定するなど、新たな広告ツールを導入するなど、直接的な施策に充てることが可能です。
広告費が限られるマンション販売では、この差が成果に影響しやすくなります。
ノウハウの蓄積ができる
広告運用を内製で行うことで、「どの物件で・どんなキーワードや訴求が成果につながったか」といったデータが蓄積されていきます。こうしたデータを分析・記録していくことで、次回以降の物件でも効果的な広告設計が可能となり、全体としてマーケティングの精度が向上していきます。
広告代理店に任せきりにするよりも、社内に知見が残る点が大きな強みといえます。
小規模な運用向け
マンション販売では、必ずしも潤沢な広告費があるとは限りません。特に小規模な物件や限られた期間での集客を行う場合、数万円~数十万円の予算で細かく調整しながら運用していくことになります。
このようなケースでは、ABテストを重ねて少しずつ改善を図るスタイルが現実的であり、小規模で柔軟に動ける内製での運用の方が適していることもあります。
ただし、内製化を成功させるには、広告の知識や実務経験を持った担当者の存在が欠かせません。運用のルールやトレンドは日々変化するため、常に最新の情報を把握し、改善を積み重ねられる体制づくりが求められます。
6.リスティング広告を広告代理店に外注する際のポイント
マンション販売におけるリスティング広告は、出稿地域や販売フェーズに応じて細かい調整が必要になるなど、運用の手間が大きい施策です。
社内リソースでの対応が難しい場合は、広告代理店への外注も有力な選択肢となります。ここでは、広告代理店への外注を成功させるためのポイントをご紹介します。
不動産業界での実績
リスティング広告の運用実績があるだけでなく、不動産業界、特にマンション販売に精通していることが重要です。
販売スケジュールに合わせた広告配信や、集客フェーズごとの戦略設計など、業界特有の事情を理解している代理店でなければ、期待する効果は得られないでしょう。
また、リスティング広告を含む不動産業界の広告はコンプライアンスが厳しく、各法令に違反していないかチェックする必要がある場面も多く考えられます。
こうしたコンプライアンスチェックの実務に慣れており、適切に対応できる広告代理店を選ぶことが不可欠です。
社内との連携体制
広告運用はマーケティング部門だけで完結しません。営業、広報、Web制作など、さまざまな部署と連携しながら進める必要があります。特に販売スケジュールの変更や物件追加など、突発的な変更にも柔軟に対応できる体制を提供しているかどうかは重要なポイントです。
広告代理店と社内でKPIを共有し、改善提案ができるような連携体制も求められます。
戦略全体を見据えた提案力
リスティング広告単体で成果を出すのは難しく、SEO対策やSNS広告、LP改善など他の施策との連動が鍵を握ります。単なる運用代行にとどまらず、Webマーケティング全体を見据えた提案ができるかどうかも、広告代理店選びの重要な判断基準です。
販売フェーズごとの出稿計画や、ポータルサイトとの相乗効果を高めるための戦略提案ができる広告代理店であれば、より高い集客効果が期待できるでしょう。
7.まとめ
マンション販売におけるリスティング広告は、費用対効果やターゲティング精度の面で優れた手法ですが、運用には専門的な視点が欠かせません。CPAの高騰やコンプライアンスリスクなどの課題を踏まえた上で、適切なキーワード設計とLPの整合性を意識することが重要です。
内製での運用にもメリットがありますが、本格的に成果を狙うなら、不動産業界に精通した広告代理店への外注も視野に入れるとよいでしょう。
広告単体で完結させず、マーケティング全体の中で役割を明確にすることで、リスティング広告の効果を最大限に引き出すことができます。